企業での
活用事例

導入企業の声

自主保全士を通じて
生産活動の基本を継承

  • 日立金属株式会社・桑名工場(三重県桑名市)
  • TPM推進室 佐野孝一氏

  • 主要製造品目:管継手、ガス用ポリエチレン配管システム、 ガス用ステンレス鋼フレキシブル管
  • 受験歴:2003 年度より7年連続7回目
  • 延べ受験者総数:1 級= 435名、2 級= 442名

自主保全士資格導入の背景

当工場では1989年にTPMを導入し今日に至っている。自主保全においては、ステップごとに座学・実践を交えるなど、教育には多くの時間を費やしてきた。その甲斐あってか、ほとんどの設備は5ステップを完了し、それにつれてロス排除にも大きな成果を上げてきている。
しかし、ある程度完成された後に入社した若い人たちには、「ロス排除を目指すTPM活動」の意義やステップ展開を通じて学ぶ「技能習得の場」が少なくなり、意識が薄らいできていることも事実である。
また、当時教育を受け実践してきた年代は団塊の世代が多く、今では定年のピークを迎えており、さらに技能伝承が難しくなってきていると言える。

資格取得の呼びかけに高い反応

生産活動の維持管理には、もっとも母集団の多い自主保全に頼るところは大である。なんとか生産活動の”いろは”を継承できる術はないものかと思っていたとき、自主保全士の検定試験が実施されていることを知った。
内容を見るとTPM の考え方から自主保全の進め方、ロス排除への改善手法等々、生産活動を行う上で最低限知っておくべきことがらであった。
従業員に資格取得を呼びかけたところ多くの人から申込みがあった。これを機会として生産に携わる従業員全員を対象に、毎年受験者を募り継続している。
初心者にはステップ展開や改善手法(なぜなぜ分析、IE・QC)を場内の研修カリキュラムに入れ、資格取得への支援をしている。
現在では対象者の60%以上の方が有資格者となっている。また1・2 級有資格者の割合は5分5分である。

資格取得の意義

自主保全士の資格取得に向けて勉強することは、啓発・スキルアップは当然のことながら、上位からの方針展開や日々の生産活動においてTPM用語が標準語となり、誰もが同じ行動が取れることにもつながる。TPMの基本を身に付け、生産現場からロスを出さないという気風が自主保全士を通じて継承され続けることを願っている。

※プラントエンジニア誌2010年5月号に掲載したものを編集して転載しています。情報は当時のものです。